ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」 (岩波新書)



ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」 (岩波新書)
ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」 (岩波新書)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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歴史の本を読んでこれだけ胸を打たれたのは久々かも

本書は、ジャンヌ・ダルクの裁判記録を元に彼女の真実の姿を探って行く前半と、彼女の名声が一人歩きしていく様を描く二部構成となっているが、圧倒的に力があるのは前半だ。

そもそも、あのジャンヌや同時代人の「肉声」(=裁判記録)がこんなに生々しく残っているものだとは知らなかった。
フランス人の物持ちのよさに感心してしまうが、ともあれそのおかげで、ジャンヌが自分自身の心情をどんな言葉で語ったかが、500年以上経った時代の我々にもわかるわけだ。
恣意的に改変されている箇所もあるとのことだが、それでもジャンヌの一言一言に、少女の姿を間近に見る思いがする。

さらに興味深いのが、彼女の「名誉回復裁判」における、彼女の幼馴染などが語るジャンヌ像だ。

「普通の少女だった」
「あんなことがあった、こんなこともあった」

などという言葉は、あるいは彼女自身の言葉よりも、雄弁に彼女のことを物語っている気がする。
何より彼女がどれだけ愛されていたか、そしてごく「普通の少女」だったかが伝わってくる。

歴史ファンなら絶対に読むべき一冊です。
ジャンヌダルクの理解と評価の変遷

ジャンヌ・ダルクの理解と評価の変遷をたどった書だ。理解と評価というと少し堅苦しいかな。時代とともにジャンヌの見方がどう変わって行ったか、ぐらいでしょうか。

知らなかったのが、ジャンヌ・ダルクについては、処刑裁判と復権裁判の記録という、かなり詳しい同時代資料があることだ。裁判というのが基本的には宗教裁判で、ジャンヌの内面や宗教性が争点になっている。その裁判記録が一番決定的な一次資料であることが、ジャンヌの理解に強く影響をあたえたのだろう。

私は、リュック・ベッソンの映画が好きで、彼のジャンヌ・ダルクも結構好きだ。その中で、彼女の裁判やその際の内面の描写が中心になっているのに結構驚いた。でも、これって結構正統的な描きかただったのね。

ジャンヌ・ダルクはフランスがイギリスと別の国となる上で重要やな役割を果たした。従って、国民国家としてのフランスが成立する際や、戦争の際などに、象徴的に取り上げられて来たのは当然だ。結局のところ、歴史的な人物の評価は、評価する方の価値観、もっと言えば、都合に左右されるのだ。結構、辛気くさい本であったが、それを再認識させてくれたのは良かった。
歴史研究の醍醐味に触れる

500年以上も前に、19歳の短い生涯を閉じた女性の人生が、後世、様々な人々の解釈や目論見に翻弄される。はるか昔、一瞬のように通りすぎていったジャンヌを巡って、後世かくも熱き論争があり、何と多くの人たちが真実の姿を求め、研究や論争にその人生の多くを費やしたのか、本当にジャンヌという存在は不思議である。研究者としてつとめて客観的であろうとする著者の筆致の合間に、著者のジャンヌ研究家としての彼女への並々ならぬ関心と愛着が伺えて、愉快である。歴史研究の醍醐味と、ジャンヌダルクが生きた時代の空気を感じられる本。
彼女はいかにして聖女になったか

中世史家として知られたレジーヌ・ペルヌーの訳者としても有名な著者が,ジャンヌの姿の変遷を史料に基づいて述べた書籍である。よって,ジャンヌ本人,というよりもジャンヌが各時代の他者がどう捉えたかが本書のテーマである。
本書の特徴は紹介される史料について十二分な史料批判がなされていることであり,類書に例がみられないのは,図像についてその背景を含めて多くのページが割かれていることである。明治以降の日本におけるジャンヌの受容についてはおそらく本書が唯一だろう。
最近跋扈しているトンデモ説がフランスでどう捉えられているかも興味深い点である。
永遠の「聖女」

 ジャンヌの時代から現代までのジャンヌ像がどのように描かれてきたのかを整理しています。
その中でジャンヌの活躍の背景に病気説、傀儡説、はたまた王女説など
が飛び出してきたことを指摘しています。
全体から歴史的に各時代のジャンヌがどのように利用されてきたかが分かります。
さらに言えば死者が後世の人たちにどのように扱われているのかが分かる一冊です。



岩波書店
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