鬱の力 (幻冬舎新書)



鬱の力 (幻冬舎新書)
鬱の力 (幻冬舎新書)

商品カテゴリ:医学,薬学,医療,看護,介護
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鬱の時代に生きる我々に内在する力

元々対談形式の本は好きではないのだが、両氏のファンであるので購入してみた。

うつに対する香山さんの医学的アプローチと五木さんの文学的・哲学的・宗教的アプローチが見事で最後まで面白く読みことができた。

うつの時代ー今は政治家の顔も料理も通貨も「うつ」。高度成長期(躁の時代)からうつの時代へゆっくりと降りていく時代の中で、自らを見失わず受け入れること。ヨーロッパの大国を例にあげていたが、こういうのが本当の「愛国心」なのではないだろうか。うつの中にも自己に内在する力、積み上げてきた誇りがあるのだ。

個々人のうつ病だけでなく、うつの時代うつの国といった視点から考えてみるのも有益だと感じさせてくれた一冊だった。
簡単に想像できる内容かな

五木寛之氏の著書では、自らが鬱になった経験をもとにした内容の本を以前も読み、人生の意味や宗教の意義など、いろいろ考えさせられました。でも私は香山リカ氏は精神科医なのに、セレブみたいに受け狙いの本を書くのであまり好きになれません。本当の精神科医は実際に病院で患者を診たり、研究したり、論文を書いていたら、こんなことをやってる暇はないはずなんですが。今回も五木氏が香山氏と対談して、話だけ併せているような部分が感じられました。あまり内容の濃いものではないし、はっきり言ってすぐに想像できそうな内容です。五木氏が受け狙いに乗せられてしまった、ということでしょうか。タイトルの「?の力」ももう今となってはミーハーだし。読者に「あ?、精神科医と作家の難しいものを読んだんだわあ、すごい、私って。」と表面的な満足感を与えるのがねらいかもしれませんね。
日本社会の様相が感じられました。

興味深い対談でした。五木氏は、社会全体が躁から鬱に移行して鬱の時代始まっていると説いています。鬱な気分とうつ病とは違うもの、鬱な気分とは本来人間に備わっている感情で、むしろやさしさ、生命力を内に秘めた状態を言っているので、ちょっと鬱ぐらいが普通ではないか、鬱を愁といった日本人が戦後失った感情という五木さんの最近の著作にみられるお考えを元に対話がなされています。香山先生は、精神科のお立場から急増するうつ病患者を扱う立場から、病気としてのうつ病と鬱な気分との境目が難しいことや、グローバルスタンダードでうつ病が定められていること、うつ病は増えている一方で統合失調症は減っていることなど医療現場の様子を回答し、対話が進むことで今の日本社会の様相を映し出していくように感じました。特に第2部「日本社会は劣化したのか」は、病院までもコンビニエンス化し始めている状況が語られ、背筋がゾクっとしました。うつで苦しむ人は大勢おられます。うつ病になって悩むのは、何故うつになったかということでしょう。うつとは何か。とても参考になると思います。
欝や鬱的気分を肯定的に考える視点

明るく元気で面白い人がもてはやされる現代において鬱や鬱的な気分を肯定的に考える五木氏の考えは共感できる。確かに気分が落ち込んでいるときに元気な人と居るとかえって辛いものである。ただ著者たちの対談を読んでいると奇麗事も多く、例えば自殺しようとしている人に病気で苦しんでいる人や必死に資金繰りをしている人の事を考えろと言うのは無理ではないか。また悩みを抱えて苦しんでいる人に他人に対する想像力を求めたり、古典文学を読んだりすることを勧めるのも現実的ではないと思う。そんな余裕があれば大した悩みではないのだ。
しかし本書では人間が時々鬱的な気分になるのは当然の事と言っている様であり、根暗人間にも市民権が与えられたようで喜ばしいことである。
「うつは治さねばならない」と考えることへの問題提起

もともと五木寛之氏は「マイナス思考」を提唱している。
世の中がすべて「プラス志向でいけ」という時代、そんなに焦る必要があるのか、
あるいは少し気が沈み込んでも、それを「悪」ととらえて急いで元気になる必要があるのか――
というわけである。

ところが、今の日本は、少し気分が落ち込むと「それはうつだよ」とか言われる。
うつが認知されたのはいいことなのかもしれないが、
「それはうつだよ」と言うことは、「だから治さなければならないよ」と言うことにもつながっている。

うつと、治療が必要なうつ病は分けて考えるべきだというのは、私も賛成だ。
香山リカ氏は、常にそのことを言い続けてきた。
ただ、ちょっと軽率なところもあり、「仕事中だけうつになる人たち」といった、
間違った反応を示すような本を書く。
五木氏との対談で彼女のその「軽さ?」が出ないか心配ではあったが、
さすが五木。きっちりとコントロールしている感じである。

泣いたり悲しむことから「力」をもらうのだ――これが五木寛之の人生観でもある。
だから巷の「うつ」の多くは「軽い落ち込み」であり、それを「悪いこと」とするから
治そうと焦りかえって悪化するのだ……とも言う。

個人的には第二部の「日本社会は劣化したのか」がいちばん面白かった。
痛烈な社会批判になっているが、嫌味がない。

「うつ病を治す本」ではないかもしれないが、即効性はなくても、
気持ちの持ち方を変えて、うつを受け入れて生きることができるようになる本である。
軽症うつの人などには、ぜひ読んでほしい。

やたらと字が大きく、新書でもあり、あっと言う間に読めてしまう。



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