悪人正機 (新潮文庫)



悪人正機 (新潮文庫)
悪人正機 (新潮文庫)

商品カテゴリ:人文,思想,学習,考え方
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吉本初心者に最適

吉本隆明の本を一度も読んだことがない自分にとって、糸井重里との共著ならとっつきやすいだろう、と考えたのがきっかけ。

吉本隆明。
思想界の巨人。

でも私は彼のことをほとんど知らない。
哲学的な語り口とイデオギーと言うイメージが重なって、あえて近づかなかったという方が正しいかもしれない。
知っていることと言えば、吉本ばななの父親。
しかし、糸井重里は吉本隆明のことを尊敬しているらしいと知ってから興味が湧いた。
もしかして自分にも理解出来るのだろうか。
そして、親鸞にも少々興味があった。
そこで手に取ったのがこの本。
しかし、書名に反して親鸞は全く関係がなかった。

あるテーマに従って、吉本隆明が語ると言う形態の本。
各テーマの最初には糸井重里の「手引き」のような文章がある。
吉本初心者にとって、おそらくこの本は「正解」だったのだろう。
なぜなら、おそらく出来るだけ平易に答えているであろう吉本隆明の言葉の内容が、文章の平易さほどには読む者には平易には伝わらないからだ。
これが糸井の手引きがない内容であれば、と考えると二の足を踏んでしまう。
やはりむつかしいぞ、吉本隆明。
もう少し修行が必要かもしれない。
ビートたけし・泉谷しげる・吉本隆明

 ビートたけし・泉谷しげる・吉本隆明。この3人は東京下町育ちで、塗装業、大工、船大工という職人を父に持ち、そろって下町言葉を捨てず、並外れた業績をなしても庶民感覚を失っていない人たち。本書も糸井重里のインタヴューに答える形で、知の巨人だというのに生活レベルで喩えを持ち出すので、思想というより人生訓という感じがして好感を持てる。
 吉本の著書は若いころはがんばって読んだものだ。著述には文章執筆の気負いと精確さをねらうのと思索の現場というものが詰め込んであってかなり難解なところがあったものだ。
 この本によって吉本とひさしぶりに再会してみれば、それら著書の現在的な結論が簡潔的に述べてあって、彼のこれまでの営為が分かりやすく俯瞰できた。その中には感覚的な表現も混入してあって、それは懐かしいかつての著書へリンクすることがまかせられていて、それなりに読み応えがあった。
 すごいな、と思ったのは、高齢になっても若いころの自分の著述してきたことをしっかり覚えていて責任を持っていることだ。
 オウムや黒田寛一など危ない名も出てくるが、こういうことには感覚的な嫌悪感など持ち出さず謙虚に、真摯に取り上げている。その逆にタイトル「悪人正機」の由来に繋がることだが、正義を他人にまで押しつけ社会全体が一色に染まらないと気分が悪いという人たちへの嫌悪感も健在で心強い。将来「単一民族」意識のある日本が戦争などヘンな方向に向かうとき、このような人物が再来することを願ってやまないと思ったものである。
 彼を中学校へ招いて放課後の学習会をお願いするなら、彼がどんなにかみ砕いて話をしたとしても理解できないかもしれないが、彼に接した子どもたちには人生上の事件になり、進路を左右することは間違いない。ちなみに教科は、数学、理科、社会、国語かな。私立なら宗教も。
吉本隆明入門

 吉本さんが哲学的課題について答えてくれています。その中で、吉本さんは「教育」を心配しています。特に中学と大学。他の本でも書かれていますが、吉本流教育改革(大学編)を2つ提言しています。1つ目は、教授が強制的に他の大学で教えること。2つ目は、学生が他の大学へ行って自由に単位が取れること。これによって、大学に対する必要以上の憧れが薄れ、少しずつ世の中の価値観に変化が起きるのではと述べられています。やはり教育は大学から変わっていくのが自然かもしれません。
 最初は理解しづらくても、徐々に体全体に響く浸透力のある本です。吉本さんに関心を持った方にまず読んでほしい一冊です。
相変わらずお元気な吉本氏の放埓な箴言

我が青春のカリスマ吉本氏と糸井氏の対談集。対談集と言っても、糸井氏の質問に吉本氏が自由奔放に答えるという形式で対談は進む。題名から分かる通り、親鸞の他力本願の悟りをザックバランに語ったような一見逆説めいた放埓な言辞で今の日本の姿を裸にする。

「泥棒して食ったっていいんだぜ」。「死は自分には属さない」。「所詮、世の中は自分一人、孤独との闘いさ」。「働くのがイイなんてウソ。24時間遊んでいる子供の姿が理想」。「人は人を助けられない。だから、ボランティアなんてまやかし」。「仕事に大切なのは上司ではなく"建物"だ」。「素質が問題になるのは、その道で10年頑張った後の話」。「正義の基準なんてどこにある」。意表を突いた言葉の数々のようだが、各々含蓄がある。ただし、オウムに関する考察と、国防(憲法九条)に関する議論には首骨できないものがあった。

糸井氏の巧みなリードのおかげか、好々爺振りを発揮して、思いのたけをザックバランに語る吉本氏もまた楽しい。目からウロコの処世訓として読んでも味があるし、単純に面白いエッセイとして読んでも脳が活性化される痛快対談集。
自分の頭で考えてきた人の話しは面白い。

糸井氏の質問をお題にして、吉本氏が考えを述べている本で、ひとつのお題(例えば「生きる」とは?とか、かなり概念的なお題)が7?10Pくらいにまとまっている。
長さもちょうど良くて、次へ次へとスムーズに読み進められる。
いろいろ自分の頭で考えて生きてきたおじいさんの話しを飲み屋とかで聞いてるような感じの本で、面白かった。読書ばっかりしてて、自分の頭であまり物事を考えてきていない自分を反省してしまった。
何事も10年やれば一人前という話しがよく出てくるので、こつこつ継続して考えたらいいんだろう。
糸井氏は、各お題の一番最初に1Pだけ出てくる。聞き役に徹している。
二人が作者になってはいますが、対談ものではないので、そこは気をつけてください。



新潮社
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